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木から、山が生まれるまで。ikkaku mosaic.の原点

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木から、山が生まれるまで。

山梨県北杜市を拠点に、山をモチーフにした木製のオブジェやアクセサリーを制作する〈ikkaku mosaic.〉。

木目や節、瘤といった素材そのものの表情を残しながら削り出される山々は、ひとつとして同じ形がありません。

なぜ木を使い、なぜ山を作るようになったのか。第1回では、井出裕太さんのものづくりの原点から、現在の制作につながるまでの話を伺いました。

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N:まず、簡単に自己紹介をお願いします。

I:ikkaku mosaic.の井出裕太です。山梨県北杜市で、主に山をモチーフにした木製のオブジェやアクセサリーを作っています。

N:ものづくりに興味を持ったのはいつ頃からですか?

I:小学生の時ですね。祖父に「ノコギリは引いて切るんだ」と教えてもらったのが最初だったと思います。
その頃、祖父の家には、どう使うのかも分からない道具で溢れた大きな工具箱があって、それをいじるのが楽しみでした。
日曜大工の祖父は、その道具を使って、無いものは作ったり、家を修繕したり、壊れたものを直したり。DIYやリペアをサラッとやってのけるヒーローでした。
今のものづくりへの興味も、この頃に受けた影響が大きい気がします。

  • ikkaku mosaic.の制作に使われる鑿や刃物

N:実際に木工を始めたきっかけは何だったのでしょう?

I:10年以上前に、りんご農家さんから剪定したりんごの木をもらったのがきっかけです。
ちょうど眼鏡を探していたタイミングで、「りんごの木でメガネを作ってみようかな〜」という軽い気持ちでノコギリとナイフを手にしました。
ただ、りんごの木は硬くて、思うように扱えなかったんです。それがすごくもどかしくて。
調べに調べた結果、木を挽いて突板にして、治具を作って貼り合わせ、そこからシェイプするという工程にたどり着きました。
何本か形にすることができて、木の種類を知ったり、新しい道具の使い方を覚えたり。できることが増えていく感覚がすごく新鮮でした。

N:最初から山を作っていたわけではなかったんですね。

I:全然違いましたね。笑

  • 木に向き合い手を動かすikkaku mosaic.の制作風景

N:素材はいろいろある中で、なぜ木だったのでしょう?

I:素材として一番馴染みがあるのが木だったんだと思います。
小さい頃から木を使ったものづくりが身近にありましたし、山に囲まれた長野が地元ということもあって、木に触れるにはすごく適した環境だったんでしょうね。
車もインパネがウッド調のものを選びがちでしたし。笑

N:意識して木を選んだというより、ずっと身近にあった素材だった。

I:そうですね。自然とそこに戻ってきた感じなのかもしれません。

その瞬間の感覚に委ねる

N:では、現在の制作で大切にしていることは?

I:一番大切にしているのは、「その瞬間の自分の感覚に委ねる」という即興性です。
制作の根底には、自然や街中で得てきたリアルな原体験があります。そこをベースにしながら、その時の気分に任せて手を動かしています。
フリーハンドで進めていると、木目の出方や手の感覚によって、予期していなかった沢筋や力強い尾根が立ち上がることがあるんです。
着地点はゆっくり決めてあげるんですけど、最初から狙って作るものではない。予測がつかず、変化を続ける大自然のあり方とも重なる部分がある気がしています。
現場合わせとも言えますね。笑

  • 制作途中のikkaku mosaic.の木の山々

Nicetime's Note

祖父の工具箱から始まり、偶然手にしたりんごの木、そして現在の「名もなき山」へ。話を聞いて印象的だったのは、井出さんのものづくりに最初から明確な完成形があったわけではないことでした。素材に触れ、試し、できることを増やしていく。その積み重ねの延長に、現在のikkaku mosaic.があるように感じます。

次回は、木目や年輪を読みながら山の形を探していく制作と、井出さんが何度も使った「記述する」という言葉について掘り下げます。

Text: Koichi Tanaka / NMG